ありんくりんレポート
in 与那国島(2020年6月27日〜7月3日)

 1年ぶりの与那国、昨年は天候に恵まれず期間も短く迷蝶らしい迷蝶も得られず、少々消化不良気味の渡島だったので、今回は少し時期をずらして、長めに滞在することにしました。今年の梅雨明けは6月12日でしたが、その後、戻り梅雨とかで大気の状態が不安定で迷蝶には追い風の状況でした。現に西條さんのブログではマサキルリマダラやルリマダラなど複数観察されているようでした。智の目標はコモンタイマイの生態写真の充実です。私はといえば、上を目指せばキリがないので、存分に与那国を楽しむにしました。それでも、密かに初ネット増やし・・・コウトウマダラ、ルソンアサギマダラ、カクモンシジミ、タイワンビロウドセセリ?!と妄想を膨らませていました。
◆与那国島(2020年6月27日)
 那覇-与那国直行で8時50分に与那国空港に到着。与那国ホンダの西條さんに挨拶をして早速、ドライブ。まずは、見たことのない風景をということで、智にお願いをして「ダンヌ浜」へ私だけ降ろしてもらった。蝶屋が行かない場所だけあって、何もない・・・。しまった!と思いましたが、ウロウロと散策、これといった蝶もいないので迎えの時間までボーッとしてました。智はその間に満田原林道でコモンタイマイの幼虫撮影で忙しかったよう。その後は、ゆっくり車を走らせ、島内を巡りました。。
◆与那国島(2020年6月28日)
 いつもの事ながら、二手に分かれて2倍(私は半人前・・それ以下なので1.3倍かな)の目でもの探しや現場を見るというのが基本スタイル。今日はまず満田原公園に降ろしてもらい、お昼までの時間を散策することにしました。ここで良かったのはアオバセセリ1頭目撃したことぐらいでした。昼からは人面岩遊歩道を散策。一応、人面岩まで登ってみました。途中の森の遊歩道では、カワカミシロチョウが結構こもっているのか、見ることができました。また、リュウキュウイナモリの花で吸蜜するクロテンシロチョウ・ヒメアサギマダラ・リュウキュウアサギマダラを確認、ヒメアサギマダラを撮影できました。智は、イランダ林道でヤンバルアワブキについていたアオバセセリ中齢死骸、ヒラミカンコノキのシロミスジ若齢、ハマセンダンのヤエヤマカラスアゲハ卵、タイワンウオクサギの花で吸蜜しているコモンタイマイ♀など撮影していました。。
◆与那国島(2020年6月29日)
 今日は智の誕生日、何か良いことがあるかな?
私は学校林〜アヤミハビル館を往復、散策しました。学校林では以前、タイワンシロチョウの交尾を撮影した場所です。宇良部農道から学校林に入りアヤミハビル館を目指すのですが、途中ブッシュで行き止まりになるのではないかと少々不安でしたが、思いの外、歩きやすくすんなりアヤミハビル館まで行き着きました。復路の学校林でショウロクサギの樹液を吸汁するクワガタムシの♀を撮影、下に目を落とすと同じ木にリュウキュウヒメジャノメ2頭が樹液を吸っていたので、このシーンも撮影しました。その間、智は久部良岳→宇良部農道と巡りヒメアサギマダラ♂吸水など撮影を楽しんだようです。その後、比川林道に移動し散策。自分的にはヨナグニカモメズルについているヒメアサギマダラの幼虫を探してみたいと思っていたのですが、このヨナグニカモメズルに行き当たることはできませんでした。まずはマダラの食痕を見つけ、葉をちぎる、乳液の出たら可能性あり。数本の当てを見つけましたが、後で智に確認を求めたところ全てリュウキュウガシワとのことで、ガッカリ。植物は難しいと再認識しました。比川林道で昼食をとりその後は二人してポイント巡りをしました。普段通らない比川集落方面へ県道216号線沿で智がタイワンオガタマを見つけては車を止めてコモンタイマイの幼虫などを見つけて撮影を重ねました。夕方には宇良部岳で智がマサキルリマダラ♀を撮影後、採集。最後に宇良部農道でマサキルリマダラ♂を智が見つけ撮影後、私が採集しました。
◆与那国島(2020年6月30日)
 諦めきれない私は今回も比川林道から奥に入れる藪道を奥深く入って見ることにしました。ヨナグニカモメヅルを求めて・・・。途中に大きな牛の糞、ひょっとしたら牛と鉢合わせになるかも?。少々不安なので時々、大きな声を上げながら奥へと。下り坂になり右側に小さな池がありました。その先は緩やかな上り坂、ここまで来ると蝶影は殆どなく寂しい藪道なので、引き返しました。途中で2株ほどマダラ食痕があり乳液の出る蔓性植物を確認しましたが、いずれもリュウキュウガシワのようでした。残念、植物は難しいですね。智は着実に今回の主な目的であるコモンタイマイの幼虫などを各所で撮影していたようです。。
◆与那国島(2020年7月1日)
 いよいよ終盤戦、智は環境が気になっている(お気に入り)が今回一度も見ていない人面岩周辺を探索することに、私は人面岩遊歩道の下(新川線〜アンガイミドゥチに並行してある)農道を歩く事にしました。普通種がパラパラ見られる程度で迷蝶の手応えはありませんでした。なお、農道にシソモドキの群落があり、イワサキタテハモドキがもし、ここに来たら発生するかもと思ったりしました。お昼に合流しましたら、智はマルバネルリマダラ♂(フィリピン型)撮影・降り逃し、コモンタイマイの幼虫などを撮影したそうです。智は、これからはフィリピン系の迷蝶が入りそうだな〜と。昨日は、夕方遅めの時間にマサキルリマダラを採集できた事から、蝶もこの時期は暑い日中を避けて吸蜜活動などを行なっているのだろうと予想。そういえば、昨日は木陰の方で吸蜜しているのを思い出しました。期待して夕方、宇良部岳、宇良部農道と回りましたがそれらしき迷蝶は確認できませんでした。昨日と今日の違いは、徐々に天気が悪くなった昨日、徐々に天気が良くなって暑くなった今日、ここに違いがあるのかもしれません。。
◆与那国島(2020年7月2日)
 今日も智は人面岩周辺を探索することに、私は比川林道に降ろしてもらいました。雨が降りそうなお天気だったので、傘を持って藪道へは行かない事にしました。車から降りて、すぐにマサキルリマダラ♂がゆったりとセンダングサの花で吸蜜しているのを発見、まずは撮影して採集しました。気を良くして林道を歩きましたが、その後は追加もなく、時折、雨にあいながら約束の時間までウロウロしました。智は満田原林道でコモンタイマイの幼虫などを撮影後、人面岩方面へ向かいそこで、コモンタイマイ♀を撮影・採集、ムラサキオナガウラナミシジミ1♂採集できたと嬉しそうでした。昼食後は私はアギンダへ、智は再び人面岩周辺へそれぞれ散策。不安定なお天気で、傘は手放せません。アギンダ農場入り口から農場手前の農道でマサキルリマダラ♂を発見、恐る恐るカメラを向けましたが遠くにワンカット、意外と落ち着かないようなのでネットを組み立て構えましたが、そのまま藪の奥へ入られてしまいました。よくある事だと諦め、農場を一回りすると雨が降り出し軒下で暫く雨宿りしました。そろそろ待ち合わせ時間なので農道を戻る事にすると、恐らく先ほど確認した同じ個体と思われるマサキルリマダラ♂が!。迷わず採集一本でネットインすることができました。智は人面岩周辺でベニモンアゲハ交尾を撮影したと喜んでいました。。
◆与那国島(2020年7月3日)
 今日は移動日、与那国島とお別れの日、私は宇良部農道一本で智は比川林道から人面岩付近とゆっくり車で流しをやりました。結局、自己初となる迷蝶には出会うことができませんでした。智の話では、比川林道でウスコモンマダラ、人面岩登山口でミナミココンマダラを目撃したそうです。7月1日頃からにわか雨や雷雨があった与那国島、センダングサの状態が益々良くなってきた中での戻りは後髪を引かれる思いではあったが、しかたがない。
6月下旬からマサキルリマダラ、ルリマダラが見られなくなり、変わって単発的にマルバネルリマダラ(フィリピン)、イワサキコノハなどや、ミナミコモンマダラやカワカミシロチョウが増えてきた事で、フィリピン系の迷蝶が増えてきたように感じました。
与那国の余韻が残る中このレポートを書いている最中、気になる西條さんのブログを見ると、私が欲しかったコウトウマダラが10日に得られてました。沖縄に戻った数日後にフィリピンに熱低ができ、フィリピン系の迷蝶が上がって来ると智が予測した通り12日にはシロオビマダラも得られたそう。特別な気流、風に乗って出発地が違う迷蝶が後から後から入って来る与那国島、来年も是非出かけたいと思いました。滞在中、大変お世話いただきました西條実氏とおもろ荘の女将まなみさんに感謝申し上げます。また今回、お会いしました青木一宰氏、植松昌樹氏、高橋直氏、高橋祐樹氏、豊原氏、平尾頼信氏、松村謙一氏、本間雅史氏からは貴重な情報を頂戴しました。各氏に感謝申し上げます。また次回、元気な姿でお会いしましょう!!
《2019年6月10日〜14日、与那国島で観察・目撃した蝶(観察者;特記以外はすべて新田敦子》
 ネッタイアカセセリ,チャバネセセリ,クロボシセセリ,クロセセリ、アオバセセリ,オキナワビロウドセセリ、ジャコウアゲハ,ベニモンアゲハ,アオスジアゲハ,コモンタイマイ、シロオビアゲハ,アゲハ、クロアゲハ,ヤエヤマカラスアゲハ,キチョウ,モンキチョウ,ウスキシロチョウ,ツマベニチョウ,モンシロチョウ,クロテンシロチョウ,タイワンシロチョウ,ナミエシロチョウ,カワカミシロチョウ、ヤマトシジミ,タイワンクロボシシジミ,ムラサキオナガウラナミシジミ(智)、イワカワシジミ(智)、クロマダラソテツシジミ,ウラギンシジミ、ヒメアサギマダラ,リュウキュウアサギマダラ,スジグロカバマダラ,オオゴマダラ,ツマムラサキマダラ、マサキルリマダラ、ツマグロヒョウモン,シロミスジ,リュウキュウミスジ,ルリタテハ,アオタテハモドキ,タテハモドキ,リュウキュウムラサキ,メスアカムラサキ、イシガケチョウ,リュウキュウヒメジャノメ,ウスイロコノマチョウ
与那国島の蝶、記録種はこちら。(文責;新田敦子)。

ベニモンアゲハ交尾(2020年7月2日、新田智 コモンタイマイ♀(2020年7月2日、新田智) マサキルリマダラ♂(2020年6月29日、新田智 メスアカムラサキ♂(2020年6月29日、新田智