ありんくりんレポート
in津堅島(2020年6月19日)
 当日のお天気は、南よりの強い風、くもり時々晴れ、ところにより一時雨といった気流の不安定な絶好の迷蝶日和! 何か面白いことが起こりそうな予感から津堅島へ出かけました。津堅港では早速、カバマダラが出迎えてくれました。マダラに動きがあるな〜と新田智も嬉しそう。いつものように、それぞれ別行動で島内散策が始まりました。私は自転車を借りて島内を回ります。まずは、ヤジり浜へ。これといった蝶を見ることなく、お気に入りのたなか浜付近の空き家へ。この空き家裏のセンダングサでその昔、マルバネルリマダラと年を変えてスジグロカバマダラを採集した実績のある場所です。ヤマトシジミやルリタテハを撮影しましたが、マダラの姿が見られません。しかたがないので少し移動して木陰でお昼にすることにしました。木陰にはツマムラサキマダラやリュウキュウアサギマダラも少しいましたが、残念ながら変わったマダラは・・・、やはりそんなに甘くないな〜と。昼食を取っていると目の前のクロヨナのひこばえにオキナワビロウドセセリがやってきました。♀かな?、確認する事もできず、とりあえずカウントしました。しばらくするとそのクロヨナのひこばえに今度はシジミチョウが!。もしかしたら、ムラサキオナガウラナミシジミ!?。人間思い込みというのは恐ろしいもので、クロヨナ→シジミ産卵=ムラサキオナガウラナミシジミという方程式が頭の中にあって、夢中でそのシーンを撮影しました。そのシジミはひこばえの幹に産卵、心の中で「珍しい蝶の産卵は産卵場所も面白い、これはスクープ」とわけのわからない事を思いながら一生懸命撮影しました。強風で煽られながらも必死で元のクロヨナにしつこく産卵しようとするシジミ、逃げられるかもと思いながらも撮影を続ける私。このシジミ(私の中ではムラサキオナガウラナミシジミ)は、どんだけこのひこばえが気に入っているのか分からないくらい風にも負けず執着し一生懸命産卵していました。卵も見えたところで、我にかえりネットを組み立て採集しました。採集して、ハテ?ムラサキオナガウラナミシジミって、このような模様だったかしら。不安がよぎる。しばらく、自転車を走らせるとソテツに群がるクロマダラソテツシジミ、何だかこの蝶に似ている、ウラナミシジミの仲間だから同じようなのかなと、まだまだ強気。港で智と合流、智はクボウ御嶽で篭っているマダラチョウ、ツマムラサキマダラ、オオゴマダラ、リュウキュウアサギマダラなどを観察・撮影するも変わったマダラは居なかったと残念そうでした。そして、私は自信満々に三角紙を見せると、あっさり「どう見てもクロマダラソテツシジミだね」と。しかし、クロヨナに産卵していたことを伝えると、これは凄いことだと褒められました。そう甘くはない、何だかちょっぴりガッカリ。無事、食い付いているか、次に津堅島へ出かける楽しみができました。
追記;ちなみに故上山智嗣氏のホームページ「大阪市とその周辺の蝶」のクロマダラソテツシジミのページで「インゲン豆のさやに食いついた幼虫(3齢);豊中産などを飼うためにマメを抜いたインゲンのさやを置いていたところ、餌を探してソテツから降りてきた幼虫がさやに食いついていました。豆よりさやの方がよい餌になるのかもしれません」とあります。今回、津堅島での観察は、マメ科植物への食性移行の可能性もあるかもと宿題をかかえた思いになりました。
《2020年6月19日、津堅島で観察・目撃した蝶(観察者;特記がない限り、全て新田敦子)》
 ユウレイセセリ(智)・オキナワビロウドセセリ・ベニモンアゲハ・ジャコウアゲハ・アオスジアゲハ・シロオビアゲハ・ミナミキチョウ・モンキチョウ・モンシロチョウ・ナミエシロチョウ・ルリウラナミシジミ・ヤマトシジミ・タイワンクロボシシジミ・クロマダラソテツシジミ・カバマダラ・リュウキュウアサギマダラ・オオゴマダラ(智)・ツマムラサキマダラ・テングチョウ・ツマグロヒョウモン(智)・リュウキュウミスジ・ルリタテハ・イシガケチョウ(写真はすべて2020年6月19日、津堅島)。記録の詳しくは津堅島蝶の記録へ。(文責;新田敦子)。
   
クロヨナのひこばえ幹に産卵するクロマダラソテツシジミ♀ リュウキュウカトリヤンマ(智撮影、高木秀了氏よりご同定いただきました。感謝)