ありんくりんレポート
in久高島(2020年3月3日)
 今日の天気は、晴れ時々くもり風が弱く、絶好の蝶日和、久高島へでかけました。目的はズバリ、シロウラナミシジミ!。「ありんくりん通信41」で報告しましたが、1月7日に採集した終齢幼虫は、1月25日に無事♂が羽化しました。その後、休みと天候があわなかったもあるのですが、「イヤまだ早いかも?」などと色々と想像し過ぎて、今日になってしまいました。島へ到着するとまずは、前回お話を伺ったご長老宅へ「ありんくりん通信41」を届けました。ご長老は、お茶でもと誘っていただいたのですが・・・今日はシロウラが待っている!・・・ご長老が「おばさん」と私に言うのがムッとしましたが、返事もそこそこに「帰りにゆっくりね〜」と自転車で颯爽と出かけました。
絶好の蝶日和、お楽しみは後に残し、自転車で前回見てなかった場所を走らせました。予想に反し、見る蝶の種類も数も少ないのに拍子抜けしました。旦那が前回、幼虫を採集した場所以外にも農地では畑を仕切るようにゲットウが植栽されていて、横目で見て回るのですが、成虫の姿が全くみず、手応えのないなか、先にポイントで粘っている旦那と合流。旦那も全く見ていないとのことで、島ヌケしたのかもと話してました。やはり、人間だけがいつも出遅れのパターンです。それでも、旦那は久高島未記録種のウスイロコノマチョウを確認したそうで、薮コギ、薮コギでヘトヘトしてました。「確かに確認したのだが、見失ってしまった」と残念そうでした。
 結局、今回の成果はウスイロコノマチョウ確認だけでした。ゲットウは花穂が多く、そのうち至る所で花を付けるのでしょう。産み頃の蕾がないと判断した母蝶はあっさり、島ヌケして海を越え食草を見つけるための旅に出たのだろうと。やはり、逞しい。そのうち、昨年のように晩秋に向け、新天地を点々とし、大宜味村押川などのハナシュクシャで大発生をするのだろうと思います。ゲットウは本島を含め、島嶼でも多く栽培されています。今後は、島嶼初記録も楽しめそうですね。
 惨敗に終わった今回、最後にお約束のご長老を尋ねに。前回は自宅前のフクギの木の下で網の修理をしながら、かたっぱしに前を通過する旅行客に声をかけ、ユンタク(井戸端会議、お話)していたのですが、今回は見当たらない。ご自宅を覗くと、ニコニコ顔のご長老。「おばさん、来てくれたね〜」と。「いえ、オネエサンと読んで下さい、おばさんという年ではないですから」とちょっと、ムッとして返事をすると、「あれ、70余りではないか?」と。「いえ、まだ50代、もう少しで還暦ですけど」と私。そんなやりとりは、さておき、今日はいい天気なのに何故、外で作業をしていないか?と尋ねると「子供達が、中国からの病気が怖いので、外に出るなと言ってるので」とのこと。コロナウィルスを心配しているようです。大好きなお喋りができない、90歳を超えるご長老は少し淋しそうでした。船の時間があるからと立ち去る際も「おばさん、気をつけてよ〜」と。なるほど、階段をヨボヨボと下りる様はおばさんと言われてもしかたがない。それほどに、足を悪くしている自分がそこに居ました。
 自宅に戻って、暫くすると電話。久高島のご長老からでした。思いがけない事にビックリ、「おばさん、「ありんくりん通信」読んだよ〜」とのこと。「色々書いてくれてありがとうね、この文章で名前を聞き忘れたとあるので、教えようね。次はお茶を飲んで行ってね」と丁寧にお名前とご住所、お電話番号まで頂いた。海を渡り、ゲットウで発生するシロウラナミシジミを夢見つつ「また、遊びに行くからね〜!」と私は電話を切った。
追記;本日、『琉球列島採集観察地ガイド』の発注をしました。お陰さまで、多くの皆様からご注文を頂き感謝、感謝です(6、7日頃の発送を予定しています)。足の手術費用にはもう少し足りませんが、足を直して野山を駆け巡りたいと思います。引き続き、双尾IIのご利用、ご協力を重ねてお願い致します。
 ご長老、次お会いする時には足を直した姿をご披露し、絶対におばさんとは呼ばせないぞ〜!と思うのであります。
《2020年3月3日、久高島で観察・目撃した蝶(特記がない限り全て新田敦子)》
 アオスジアゲハ・シロオビアゲハ・ベニモンアゲハ・キタキチョウ・モンシロチョウ・ナミエシロチョウ・ウラナミシジミ・ヤマトシジミ(智)・タテハモドキ・ルリタテハ(智)・ウスイロコノマチョウ(智)*。記録の詳しくは久高島蝶の記録へ。(文責;新田敦子)。