ありんくりんレポート
in 与那国島(2019年6月10日〜14日)

 6月10日〜14日に与那国島へ行きました。前回の与那国島行は2013年6月17日〜19日ですので、6年ぶりの渡島となります。
今回は蝶とは全く関係のないゲスト(新田智の友人)と一緒なので、観光も兼ねてのんびり島を楽しむ事にしました。蝶に関しましては、好調のコモンタイマイの幼生期観察、写真撮影を第一の目標とし、可能であれば双尾IIのホームページで弱い、八重山の蝶の幼生期写真の撮りためできたらな〜と考えていました。そして、この時期ですので迷蝶をつまみ食い出来たら良いけどな〜、だったら日本初記録種!、と出発前日まで妄想を最大限に膨らませました。
週間予報は雨続き、迷蝶のシーズンで天気に泣かされる事は、再三経験しているのですが、「島の天気は回復が早い、カタブリで降っていない場所は大当たりする」などと根拠もなく、あくまでもポジティブ。
◆与那国島(2019年6月10日)
那覇-与那国直行で8時50分に与那国空港に到着。与那国ホンダの西條さんに挨拶をして早速、ドライブ。どんよりとした曇り空、それでも久々の与那国島はワクワクが一杯、何を見ても見いってしまいます。
満田原林道ではゆっくり車を走らせ、タイワンオガタマを中心に見て行くと食痕らしいものを智が発見、あっけなくコモンタイマイ中齢幼虫を見つけました。私も真似っこしますが、そう簡単には見つかりません。満田原林道ではカワカミシロチョウ1♀を撮影しました。
迷蝶の記録の多い、宇良部岳では山頂への階段がススキに被われ、しかも少し雨で濡れている事から私は山頂へ行くのを断念したした。智の話では、山頂も以前よりススキなどに被われ、視界が悪くなっているそうでホリシャルリシジミなどは見えても採れないのではないかとの事でした。山頂ではメスアカムラサキ♂、リュウキュウムラサキ♂がテリトリーを張っていたそうです。この日は、タイワンシロチョウ♂吸水(新田智)、タイワンモンシロチョウ1頭、ウラギンシジミの交尾(新田智)ができました。智は初のウラギンシジミ交尾に大満足していました。
◆与那国島(2019年6月11日)
朝から雨。午前中は車から出るのも嫌になる天気でした。お昼近くになると雨も小降りとなり、智はイランダ林道でコモンタイマイ中齢幼虫を1頭見つけて撮影、私は宇良部岳の鞍部でアオバセセリの吸水を撮影しました。智の話では与那国のアオバセセリは珍しいと褒められました。
この日の最後、最西端の碑へ行くと駐車場にNHKのマイクを持った取材班が居ました。智は、スット横をすり抜け碑の方へ、私とゲストは駐車場で待機していますと、取材班がゲストにマイクを「地元の方ですか?」と。ゲストは慌てて「観光です」と取材拒否。それでも、何事だろうと興味津々で見てましたら、そのうちお巡りさんもやってきました。取材班と何やら話をするとお巡りさんは最西端の碑、展望台へ。しばらく撮影を続けていた取材班は駐車場をあとにしました。その後、戻って来たお巡りさんに話を伺うと、日本最西端の地点がこれまでより北北西に約260メートル先にある「トゥイシ」に決まったそうで、今夜9時のニュースでその事が放映されるとのことでした。その話を聞いた智は、急ぎまた展望台へ戻り、「トゥイシ」を記念撮影。
その夜の9時のニュース、マイクを向けた今井レポーターの姿を見てビックリ「この人だ〜」、「トゥイシが映っている〜」などとタイムリーな話題とニュースでテレビを見ながら盛り上がりました。
◆与那国島(2019年6月12日)
朝から曇り、夕方に雨といった天気。イランダ林道でコモンタイマイの幼虫を撮影(新田智)、私はせっかく与那国来たのだからと、ネットを持って蝶友のお土産用にとスジグロカバマダラやヒメアサギマダラなどを新川線でのんびり採集しました。大物迷蝶はもちろん、自分用にと考えていたのですが、全く気配もありませんでした。満田原林道ではアワブキでアオバセセリと思われる幼虫巣を撮影しましたが残念ながら中身がありませんでした。
◆与那国島(2019年6月13日)
朝は曇り、日中雨のちに曇り、時々晴れ間、夕方雨。新川線にはタイワンオガタマが多いので、私もコモンタイマイの幼虫探しにチャレンジ、中齢幼虫を見つける事が出来ました。新川線では引き続き、お土産用の蝶採集。少し、天気が良くなって来たので立田神を車で流すと、赤いシルエット。「車止めて〜、キミスジ!」と私。結構高い場所でテリトリーを張るキミスジをまずは撮影、その後、智が採集しました。気を良くしてネットを持って付近を散策しましたら、カワカミシロチョウ♀を発見、お土産用にと採集しました。
◆与那国島(2019年6月14日)
朝から、雨。飛行機の時間まで見納めで島を一周しました。
今回の与那国行で、蝶影としましては、タイワンシロチョウの新鮮な個体がけっこう多く見られ、ヒメアサギマダラは安泰、コモンタイマイは産卵食草を探す♀?など数頭を目撃、若齢〜終齢を確認しました。コモンタイマイはこれから成虫を多く見られるようになるのではないかと思います。シロウラナミシジミを各地で数頭、カワカミシロチョウを3頭目撃、立田神で1♀採集。キミスジ1♂を立田神で撮影、(新田智採集)。迷マダラは全く見る事ができませんでした。
最大の目的だった、コモンタイマイの幼虫撮影はクリアーできましたが、ネッタイアカセセリとタイワンモンシロチョウは成虫を1頭撮影したのみ、数多く見られたヒメアサギマダラやスジグロカバマダラといった八重山でしか撮影出来ない幼虫は全て見つける事さえできませんでした。天気の悪い日はそれなりに幼虫探しを楽しむと切り替えるのですが、幼虫探しは本当に難しい。ちなみに、与那国ホンダの西條さんは幼虫探し?でハンギマキ(ハゼノキ)にかぶれてしまい大事になったそう。与那国のハゼノキに負けてしまった話はよく耳にします。夢中になりすぎてハゼノキを折ったりしないようにしましょう。幼虫探しは難しい。あ〜ぁ、沖縄に戻って来たばかりなのに、また、与那国(八重山)へ行きたくなった・・・。
 最後になりましたが、今回も与那国ホンダの西條実氏には大変お世話頂きました。深く御礼を申し上げます。今回、お会いした青木一宰氏、上田氏、松村謙一氏、山口修氏、にも感謝申し上げます。また次回、元気な姿でお会いしましょう!!
《2019年6月10日〜14日、与那国島で観察・目撃した蝶(観察者;特記以外はすべて新田敦子》
 ネッタイアカセセリ,チャバネセセリ,クロボシセセリ,クロセセリ、アオバセセリ,ジャコウアゲハ,ベニモンアゲハ,アオスジアゲハ,コモンタイマイ、シロオビアゲハ,アゲハチョウ、クロアゲハ,ヤエヤマカラスアゲハ,キチョウ,モンキチョウ,ウスキシロチョウ,ツマベニチョウ,モンシロチョウ,タイワンモンシロチョウ,クロテンシロチョウ,タイワンシロチョウ,ナミエシロチョウ,カワカミシロチョウ。ヤマトシジミ,シルビアシジミ,シロウラナミシジミ、タイワンクロボシシジミ,クロマダラソテツシジミ,ウラギンシジミ、ヒメアサギマダラ,リュウキュウアサギマダラ,スジグロカバマダラ,オオゴマダラ,ツマムラサキマダラ、ツマグロヒョウモン,キミスジ、シロミスジ,リュウキュウミスジ,ルリタテハ,アカタテハ,アオタテハモドキ,タテハモドキ,リュウキュウムラサキ,メスアカムラサキ(智)、イシガケチョウ,リュウキュウヒメジャノメ,ウスイロコノマチョウ
与那国島の蝶、記録種はこちら。(文責;新田敦子)。

ウラギンシジミ交尾(左♀・右♂、2019年6月10日、新田智) コモンタイマイ幼虫(2019年6月13日、新田智) アオバセセリ♂(2019年6月11日、新田敦子) キミスジ♂(2019年6月13日、新田智)