ありんくりんレポート
in伊江島(2013年11月19日)
 一昨日まで気温が高めでしたが、昨日から徐々に気温が低くなってきました。しかし、曇りのち晴れの天気予報を信じて、伊江島へ出かけました。ホリイコシジミが発生していたら、あまり天気に関係ないだろうし・・・太陽が出たら少しは体感的に良くなるだろうなどと安易な考えからです。
 伊江島のホリイコシジミは同島初記録となる1993年に発生を記録されてからのことで、かれこれ20年ぶりの再会となるのか?。1993年当時は幹線道路の街路樹としてランタナが植栽されていて、それで発生したらしいです。しかし、残念な事に現在はハイビスカスに変わっています。なお、同じ探索中にハマヤマトシジミも発生していたという羨ましい話です。
 ハマヤマトシジミは無理だとしても実績からして、今年は見れるのではないかと期待しながら町を歩きます。郵便局に近くの歩道にヤナギバルイラソウを発見、塀越しに民家を覗くと、ヤナギバルイラソウが庭先にあります。少し、日向きが悪くホリイコシジミは飛んでいないようです。少し歩くとコバノランタナもあります。よく見るとホリイコシジミがコバノランタナに来ているではないですか。撮影後、採集しました。幸先が良く、他にも沢山いるに違いないと、集落内を歩き回りました。
 伊江島へのフェリーは到着が9時半頃、帰りのフェーリーは13時と持ち時間があまりありません。時間を気にしながら、集落を歩き気になっていたミースィ公園方向へ。集落内では小規模なランタナやヤナギバルイラソウを散見できましたが、チラチラと成虫が飛んでいる気配がありませんでした。ミースィ公園にはランタナがあったことを記憶してましたので、時間をここで使おうと考えました。公園入口にはオレンジ色のランタナがあります。しかし、これには居ないようです。智の話では、ランタナでも、キバナランタナ、コバノランタナ、シチヘンゲ(ランタナの原種)には付いても、紫色や白色のランタナにはあまり付かないとのこと。また、紫色や白色のランタナになると学名もガラリと変わるらしいです(フゥ〜ン・・面白いな〜)。
公園には山壁に沿って遊歩道があります。山壁は南向き、この壁が風を遮っているので、穏やかでポカポカと暖かい陽気です。ヒメシルビアシジミやヤマトシジミ、クロマダラソテツシジミなどが忙しなく飛んでいます。山壁からシチヘンゲ、そして壁棚に植栽されているコバノランタナがありましたが、肝心のホリイコシジミは飛んでいないようでした。
 時間も少なくなり、公園を出て港方面へゆっくり違う道を歩いていきますと、ヤナギバルイラソウがある空き家跡、そこにホリイコシジミが飛んでました。数頭採集して、写真も1枚。
さて、今回の散策で一応は幼虫が居ないかも大雑把に見ましたが、別れて探索していた智も私も幼虫の確認にはいたらず、発生とまでは言い切れませんでした。ただ、今まで経験から、やっと伊江島へ入ったところと感じました。なぜ、そう感じたかと言いますと(以下はあくまでも想像ですので、ご勘弁を)
(1)一カ所に集中して個体群がいること・・・・以前、クロマダラソテツシジミで経験したのですが、金武町の1本のソテツから発生が始まり、その一帯から円を描くように分散したのではないかと思わす経験があったから。発生迷蝶の始まりは水面に一滴の墨を落とすかのごとく広がるのではないかと考えるようになりました。
(2)♀が多い。発生の始まりは♀が多いです。そして、終焉、発生の末期になると♂ばかりになります。♀はより危機感を感じて広く飛び回る(いち早くトンズラする)ような気がします。
(3)食草に食痕や蛹殻など発生の痕跡を見つける事が出来なかった。
以上、3つの理由から、本島で発生していた個体群が海を越えて、ごく最近ようやっと伊江島にたどりついたところではないかと想像してます。ちなみに智はヤナギバルイラソウに産卵する♀を確認していますので、これから個体数を増すのではないかと考えます。
 今回、採集した個体は、その日のうちに展翅をしました。コバノランタナで採集したのは1♂3♀、ヤナギバルイラソウで採集したのは1♂2♀。展翅をして気がついた事は、ヤナギバルイラソウで採集した個体が一回りデカイということ。智に話すと、ヤナギバルイラソウ喰いは果莢で育つ個体が多く、種子と言う栄養価が高い部位を食べて育つからではないかとのことでした(フゥ〜ン・・面白いな〜)。
それでも、私は一人、妄想するのです・・・ごく最近たどり着いた2つのホリイコシジミの個体群、小さなランタナホリイコと大きなヤナギバルホリイコ・・・今まではランタナ喰いだったのが、ヤナギバルイラソウという新食草にたどりついて、今後、長い年月を経て、亜種から別種に変化する第一歩かも・・・などと。妄想はこのくらいにしておきましょうね。
《2013年11月19日、伊江島で観察・目撃した蝶(観察者;特記がない限り、全て新田敦子)》
チャバネセセリ・オキナワビロウドセセリ・アオスジアゲハ・シロオビアゲハ・キチョウ・ナミエシロチョウ・ウスキシロチョウ・イワカワシジミ(智)・ヤマトシジミ・ヒメシルビアシジミ・アマミウラナミシジミ・クロマダラソテツシジミ・アサギマダラ・イシガケチョウ・ルリタテハ・アカタテハ(写真はすべて伊江島、2013年11月19日、新田敦子撮影)記録の詳しくは伊江島蝶の記録へ。ブログも見てね!(文責;新田敦子)。
コバノランタナに来ていたホリイコシジミ ミースィ公園入口のモニュメント ヤナギバルイラソウに来ていたホリイコシジミ