ありんくりんニュース
フタオチョウの交尾(2012年3月22日)

フタオチョウ♂のテリトリー内に♀が入って来て追飛、♀がゆっくり前を飛び♂を導くように小高い丘の上にある木の上で♀が静止すると♂も横になりました(13時20分)。しばらくしても、その場から動きがないことから交尾が成立したと確信しました。丘の下から見上げての撮影ではものたりないので、成立場所を頭にたたきこんで、少しでも近くへとその場所の木の下へ行きました。この交尾個体は横並びの状態でした。交尾成立からずっと同じ体勢です。このシーンでは交尾写真とは認められないかもしれないと思い、決定的な箇所(尻端)を撮影したいと思いました。木に登り少しでも近くに寄ろうとしましたが、尻端はみえません。しかたがないので、棒切れを探し出し、♂を少しつっついてずらさせました。ようやく尻端を撮影できました。交尾がとける14時38分まで撮影をし続けました。手をくわえなければ、横並びのまま交尾が続いていたものと考えられます。ちなみに、月刊むし493号、宮城秋乃氏の「沖縄島でのフタオチョウの生態観察」報文での例は、交尾後双方が開き一直線に並ぶ形式を紹介しているが、今回のパターンは違ったタイプの事例として面白いのではないかと思う。
最後に思う事、お願いが一つ。こうして公開すると、フタオチョウの撮影がしたいのですが場所を教えてくださいとか案内お願いしますといった依頼が増えて来ます。本種は、ご存知の通り天然記念物で採集はできません。依頼された方が写真メインで信頼のおける方であったとしましても、こういったご依頼には一切お応えしないようにしています。ご本人がカメラマンであったとしましても、撮影データを付けたり、知人に話をされることもあるかと思います。その知人から次々に広まり、結局は撮影がメインの方とは違う方々に情報を広めてしまう結果になるかもしれない、それが怖いのです。今回の撮影場所を公表していないのは、こうした理由からです。ご容赦いただきたく、お願いします。

交尾成立直後(手前♀)13時20分 交尾(手前♂)14時10分 交尾(左♀・右♂)14時31分 交尾がとける(左♀・右♂)14時38分