ありんくりんニュース 特集!イチモンジセセリの野外における生態観察
イチモンジセセリ;幼生期(その5/2011.12.20〜2012.01.11)

《写真1〜9 2011年12月20日、名護市 新田智観察》
 チャボウシノシッペイで脱皮直後の中齢幼虫を見つけました。巣はチャボウシノシッペイの葉を4枚綴りしています。食痕を頼りに丹念に調べ、ようやく巣を見つけました。巣を開いてみて最初は意味が分かりませんでした。黒い頭と白い頭、ルーペで確認して脱皮直後だと分かりました。頭部の色の変化をじっくり観察しました(時間の経過と頭部の色の変化をご覧下さい)
《写真10〜11 2011年12月26日、名護市 新田智観察》
 12/20の観察した巣をそのまま利用し、同様に綴られていました。今回は頭部を下にしていました。よく見ると、下の方も食べているのか、それとも下から出入りしやすい為か下部も葉焼しています。背丈の低いチャボウシノシッペイだから、冬季は地を這いながら食草を少し齧っては巣に戻を繰り返しているのかもしれません。造巣位置は、風であおられる高い所でないのも興味深いです。冬場こういった種類の観察では、巣をたよりに探索し、撮影のため巣を開いてしまいます。再度、造巣するためには幼虫の体力が消耗されます。今後の観察は2週間に一度にすることにします
《写真12 2012年1月11日、名護市 新田智観察》
 この個体は、昨年秋にチャボウシノシッペイでの産卵を多く確認していたので、追跡するのを楽しみにしていた個体でした。追跡調査の切っ掛けになったチャボウシノシッペイでしたが、今回は古い巣と食痕だけしか見つける事ができませんでした。この植物では育たないのでしょうか?。しばらく丹念に周辺を探しましたら、すぐ側のチガヤに食痕と巣を見つけました。巣を開けてみましたら、寄生された幼虫がいました。恐らく、追跡中の個体かと思います。後に分かったのですが、この場所において産卵を良く見かけたチャボウシノシッペイのある場所は西日の良く当たり体感温度も高い場所です。あれほど産卵シーンを観察できたにもかかわらず、追跡がなかなか続きません。同日見つけたチガヤの場所(その8〜その12)は日の入らない、涼しい場所です。天敵もよりつきにくい環境なのです。日当りが良すぎるというのは、実は天敵にとっても棲息しやすく、幼虫は餌食になりやすいのではと思ったのであります。

【写真1】チャボウシノシッペイの巣と食痕 2011年12月20日 【写真2】葉を4枚綴った巣 2011年12月20日 【写真3】同左の巣を開いたところ 同日10時35分(頭部は上) 【写真4】脱皮殻が右横に頭殻は頭に乗っかっています 同日10時41分(頭部は上)
【写真5】模様が薄らでてきました。頭殻はまだ頭に乗っかっています 同日11時34分(頭部は上) 【写真6】模様が徐々に濃くなります。頭殻を振り払おうと頭を振ります 同日12時40分(頭部は上) 【写真7】しばらく時間をおきましたら頭殻は抜け体を反転させていました 同日13時25分(頭部は下) 【写真8】さらに、反転させ造巣の準備を始めました 同日14時17分(頭部は上下)
【写真9】頭部模様のアップです。脱皮殻は少し残っているようです 同日14時19分(頭部は上) 【写真10】約一週間後の巣と食痕 2011年12月26日 【写真11】同左の巣を開いたところ 2011年12月26日(頭部は下) 【写真12】食痕と古い巣 2012年1月11日
   
【写真13】チガヤ(2枚綴り)の巣 2012年1月11日 【写真13】同左巣を開けたら寄生された幼虫がいました 2012年1月11日