ありんくりんレポート
in 古宇利島(2010年11月2日)

  今年は、本島ではキタテハの当たり年のような気配です。こんな年は、本島周辺の離島を攻めて、キタテハ初記録に挑戦しなくては!ということで、今日は古宇利島へ出かけました。天気は上々、早起きして8時50分には古宇利大橋を渡りました。いつもは外周道路を車で流す程度ですが、今日はキタテハ狙いで島の内陸部も行ってみます。集落を抜けると砂利道が何本も入り組んでいます。適当に車を走らせると公園らしき場所にたどり着きました。入り口に「アマジャフバル農村公園」という札があります。東屋やトイレ、整備された遊歩道らしいものもありますが、雑草に覆われ,台風の影響か木々も倒れかかったものもありました。何かいるかもしれないと早速、散策を開始しました。しかし、橋を渡る頃はまだましな天気だったのですが、急に厚い雲に覆われて来ました。雨は降りそうではないのですが、探索意欲がしぼんできます。ここではセセリやクロマダラソテツシジミ、ルリウラナミシジミなどが撮影できました。公園入り口に戻って来ましたら、今帰仁村役場の軽トラ公用車が止まっていて数人が草刈りの段取りを始めていました。職員の方に屋我地島から今帰仁に建設中の橋について尋ねてみました。今年の12月18日に式典・渡り初めをして、一般開通は当日の15時とのことでした。国頭などを探索の後、本部半島を見に行く場合、湾を回らずに島を巡って入る事が出来るようになります。島も本部半島もぐんと近くなりそうです。
この厚い雲では到底キタテハは狙えません。半ば諦め気分でその場を離れ、外周道路へゆっくりとセンダングサを見ながら車を走らせます。墓場の裏側にある荒れ地のセンダングサは道から離れているので見にくくなっています。そこで車を止めて何カ所か気になる花場を見て行きました。思いが通じたのか次第に空が明るくなって来ました。隙間から青空も見えて来ています。暫く流しを続けていましたら、車をぴたりと止め「キタテハ!」と智が叫んで飛び降りました。しかし、敏感で写真も採集も出来ませんでした。島ヌケしたかもしれないと残念そうな智。諦めきれずに飛んで行った方向にゆっくり車を走らせましたら、目撃から400メートルほど離れた道沿いのセンダングサにキタテハがいるのを発見、無事撮影と採集に成功しました(新田智)。
古宇利島では、その他の蝶の撮影も楽しみ、12時前に島を後にしました。
《2010年11月2日、古宇利島で観察・目撃した蝶(特記がなければ全て新田敦子観察)》
 オキナワビロウドセセリ・チャバネセセリ・イチモンジセセリ・ユウレイセセリ・ベニモンアゲハ・アオスジアゲハ・シロオビアゲハ・キチョウ・ウラナミシロチョウ・ツマベニチョウ・モンシロチョウ・ナミエシロチョウ・ウラナミシジミ・オジロシジミ・アマミウラナミシジミ・ルリウラナミシジミ・ヤマトシジミ・タイワンクロボシシジミ・クロマダラソテツシジミ・テングチョウ・リュウキュウアサギマダラ・カバマダラ・オオゴマダラ・ツマムラサキマダラ・ツマグロヒョウモン・リュウキュウミスジ・ヒメアカタテハ・アカタテハ・リュウキュウムラサキ・キタテハ(智)・イシガケチョウ・ウスイロコノマチョウ
写真上段は新田智撮影、下段は新田敦子撮影です。上段右、キタテハ♂(同個体採集、智)、上段中イチモンジセセリは移動蝶です。上段右はルリウラナミシジミ♀、本種はけっこう見ました。下団リュウキュウムラサキは変異があって面白いです。写真はすべて2010年11月2日、古宇利島)島の記録はこちらブログも見てね!(写真;新田智・新田敦子、文責;新田敦子)。
※ちなみに、キタテハの記録は本島周辺の離島では沖縄本島・阿嘉島・渡嘉敷島のみです。今年は記録更新の可能性が高く、絶好の年です。キタテハも迷蝶ですので入った当日〜数日で島ヌケする可能性が高く、速攻で動かなければチャンスを逃すのです。情報ですぐに動ける人とと都合で何週間か出遅れる人、迷蝶を当てるには速攻で動くことが一番のような気がします(発生迷蝶は除く)。ここ数日の間にいかに離島を巡りキタテハを当てるか勝負です。ちなみに、今日は瀬底島にも行きましたが時間が遅くなり移動するキタテハを2♂目撃に終わってしまいました(智)。明日こそはリベンジです。
※私は、記録というのは誌面に報告して初めて更新が認定されると考えています。商業誌の情報集(無記名)であっても誌面に残された時点で記録となると思っています。今シーズン確認できましたキタテハなどの迷蝶の記録は『月刊むし』の迷蝶特集号に普通種で島単位の追加・更新種につきましては、沖縄昆虫同好会の会報で記録する予定です。