ありんくりんレポート
in 座間味島(2010年6月13日)

 座間味島はもちろん八重山にはかなわないのですが、迷蝶の記録の多い島です。本島からは手頃な離島なので6月、梅雨明けまでの期間はタイワンアサギマダラ、ウスコモンマダラなどの迷蝶も期待できます。渡嘉敷島と比べてポイントを絞りやすいのが良いのです。座間味島でのポイントは実績から「古座間味ビーチ」周辺のモクマオウ林の遊歩道が一番です、ここでは迷マダラが比較的高い確率で遭遇できます。その他のポイントではカワカミシロチョウは2006年の当たり年に林道久岳線の終点付近にかたまって観察できました(徒歩では無理な場所です)。そこで今回の狙う迷蝶はズバリ、サツマシジミ。この蝶は前日の6月12日、ニュースにも書いていますが、本島で確認しました。だったら、離島初記録を狙おうという、単純な理由です。今回、智は他の目的で阿嘉島・慶留間島・外地島へ、二手に分かれる事にしました。
高速艇に乗り込み、座間味港へは約50分、私の方が先に降ります。座間味航路は座間味港を経由して阿嘉港、そして那覇市泊港へ戻ります(帰りは阿嘉港を経由して座間味港、そして那覇市泊港へ戻り)。まずはサツマシジミがいたとしたら、成虫がテリトリーを張りそうな高月山を目指します。途中は草刈りが入っていて、センダングサが少ないです。ハイビスカスの花も時期が悪いのか少なめでした。それでも、ツマベニチョウが吸蜜に訪れ目を楽しませてくれます。モンキアゲハ、シロオビアゲハが多め、オキナワカラスアゲハはポツポツ、途中、ツマムラサキマダラの♀がリュウキュウテイカカズラに産卵しているのを観察、撮影を試みましたがピントが合わず一瞬を撮りそこねました。
 さて、目指す高月山では、展望台でしばらく粘ってみたのですが、結局お目当てのサツマシジミはいませんでした。そう簡単ではありませんね。高月山の遊歩道から高月山駐車場まで降りて行きます。リュウキュウウラナミジャノメが足下を飛びます。汚損個体がポツポツ、発生末期といったところでしょうか。第二展望所を通り抜けた木漏れ日の入る空間にアマミウラナミシジミがテリトリーを張っていました。カメラを構えると素早く飛んでしまいます。数回シャッターを切ろうとしましたが、なかなかジッとしてくれません。やっと大人しくなったと近寄って見ると入れ替わりでイワカワシジミの♂がそこにいるではないですか。これは、写真に無事収めることができました。
高月山を下山して、古座間味ビーチ方面へポイントを移します。古座間味ビーチ周辺(モクマオウ林の小道)ではベニモンアゲハを2頭確認しました。しかし、近づくこともできないまま、落ち着きなく飛び去ってしまいました。写真どころではありません。今回、セセリチョウ科は、まだ1種も確認できていません。注意しながら歩いてましたら、カナブンに混じって素早く飛ぶ茶色セセリを発見しました。恐る恐る近寄り、とりあえずは望遠で1枚。暗めの林道もあってストロボをたいても、ピンぼけ。さらに一歩近寄るだけでどこかへ逃げられてしまいました。茶色セセリは採集するか写真でも側面や斑紋の特徴をしっかりと捉えていないと同定は不可能です。残念。モクマオウ林の小道に一番多かったのはヤマトシジミでした。混じってサツマシジミは・・・・。やはりいませんでした。ヤマトシジミの交尾個体を撮影(←♀+♂)、ツマムラサキマダラの吸蜜や吸水を撮影しました。山道はツマムラサキマダラの♀を多く見たのに対し、海岸沿いの古座間味ビーチ周辺では♂ばかりでした。数日前の大雨でモクマオウ林の小道のところどころ、湿った砂地になっています。そこに、リュウキュウヒメジャノメも吸水にきていました。大人しかったので撮影成功。
 今回の座間味島は蝶全般に少ないような印象でした。ナミエシロチョウ、イシガケチョウは1頭のみ、セセリチョウ科は茶色セセリとチャバネセセリ幼虫の確認、ルリタテハ、アカタテハ、ツマグロヒョウモンは結局カウントできませんでした。離島での楽しみは毎回同じではなく、思いがけない出会いがあることもというとろこでしょうか。コマメに見た蝶をカウントし種名を書き留めておくことも、その楽しみを引き出す切っ掛けになればと思っているからです。
帰りのバスで「今日は何を観察できたか?」と智。ツマムラサキマダラの産卵撮影の失敗、イワカワシジミがいたこと、ヤマトシジミの交尾、リュウキュウヒメジャノメの吸水の話をしました。なかでも「リュウキュウヒメジャノメの吸水は僕も見た事がない」と褒められました。良かったです。(文責;新田敦子)
《2010年6月13日、座間味島で観察・目撃した蝶(観察者;新田敦子)》
 チャバネセセリ(幼虫),アオスジアゲハ,シロオビアゲハ,ナガサキアゲハ,モンキアゲハ,オキナワカラスアゲハ、ベニモンアゲハ,キチョウ,ツマベニチョウ,モンシロチョウ,ナミエシロチョウ,イワカワシジミ,ウラナミシジミ,アマミウラナミシジミ,ヤマトシジミ,クロマダラソテツシジミ,リュウキュウアサギマダラ,カバマダラ,オオゴマダラ,ツマムラサキマダラ,リュウキュウミスジ,タテハモドキ,イシガケチョウ、リュウキュウウラナミジャノメ,リュウキュウヒメジャノメ(写真はすべて2010年6月13日、座間味島で新田敦子撮影)島の記録案内は座間味島トップへ

イワカワシジミ♂(高月山) ヤマトシジミ交尾(古座間味ビーチ付近) リュウキュウヒメジャノメ吸水(古座間味ビーチ付近) チャバネセセリ幼虫(古座間味ビーチ付近)